お話をよく聴かせて頂くことから始まる

20111126心理カウンセリングと言っても、具体的なイメージがつかめない人が多いようです。
クリニックの受付にいると、『カウンセリングって何をするんですか?』と質問されることもよくあります。
ですから、今回はカウンセリングでまず何をするのかを、簡単に分かりやすく書いてみようと思います。

皆さんによくあるカウンセリングのイメージは、カウンセラーは心の専門家だから何でもわかっている存在であり、カウンセリングの場面ではすぐに何か特別なアドバイスを与えてもらえて、心が楽になるというものです。

しかし、実際には心の専門家でもよくわからない事はたくさんあります。
また、すぐにアドバイスを与えてお悩みが解決するようなケースはないわけではありませんが、現実には少ないものです。

例えば、いつもクヨクヨ悩んでしまって気分が落ち込んでしまう人に対して、もっと自信を持つようにアドバイスをしても、当たり前の話ですが、そうできない自分を悩んでいるのですから意味がありませんよね。

では、心理カウンセラーは何をするのか?

それは、クライアントさんのお悩みやご相談を 『よく聴くこと』から始めていきます。
もちろん、ただ聞くのではなく専門家の視点でよく聴いていきます。

するとカウンセラーは、クライアントさんがどうしてお悩みになっているのか、心理的に深いレベルで理解できるようになります。

『ああ、それならクヨクヨしたり憂鬱になってしまうのは無理もないなあ』と共感できるようになります。
そして、そのことをクライアントさんに伝えていきます。

クライアントさんはカウンセラーにお悩みや相談内容をよく聴いてもらい、また共感してもらうと、段々と心が軽くなってきて頭の中や感情の整理がついていきます。

この段階になると、カウンセラーはそれぞれのクライアントさんに有効な専門的なアドバイスや指示を与えることができます。
認知行動療法などの、それぞれのクライアントさんに合ったアプローチを紹介することもできます。

このように心理カウンセリングでは、まずクライアントさんのお話をよく聴かせて頂くことから始まるのです。
そして、心のお悩みや症状には、『よく聴くこと』が『よく効くこと』につながるわけです。

うつ状態でつらい思いをされている方、会社や学校で適応できずに悩んでいる方、人間関係がうまくいかず苦しい思いをされている方・・・一度カウンセリングを受けてみませんか?

ひとりで悩まないで、一緒にお悩みや問題を解決していきましょう。
来院をお待ちしています。(中村)

幸福論

きょうは加賀乙彦の「不幸な国の幸福論」のなかから定年後の人の生き方にや老いについて書いてある部分が印象に残ったので拾い出して書いてみます。
加賀乙彦は精神科医でもあり、小説家としても有名です。
この本は彼があとがきに「日本という暗い格差の大きい不幸な国、希望のない国において、幸福をつかむことはなかなかむずかしいことだと思いますが、私自身の長いあいだの精神科医としての経験や、小説家としての人間理解をいしづえにして人間の幸福とはいかにあるべきかを書いてみました。」と書いてあるように彼の現在の幸福論です。
定年後のことは、その本の中の4章「幸せに生きるための『老い』と『死』」のなかに書いてあります。
定年前後というのは、初老にさしかかり、環境の変化に適応する能力が低下してくることもあり、うつ病になる人も多い。特に仕事人間で、これといった趣味のない人、仕事がらみの人間関係しか持ってない人が危ないといっています。日本社会では、「どんな職場でなにをしているか」がそのひとの身分証明のように考えられていて、長く組織のなかにいるうちに、気がつけば「○○しゃで△△をしている」ことが自分のよりどころ、アイデンティティのようになってしまいがちです。
そうしたひとがそのまま定年をむかえるとうつ病になったりするばあいがある。加賀乙彦は40代になったら、肩書きを取り払った身一つの自分の問い直しを始め、リタイアするまえにその後の人生における目的を定めておくことをすすめている。
ひとは、人の役に立ち喜ばれることで自分がこの世に存在することの意味や価値を実感できるが、リタイアして社会とのかかわりが薄れると、その手ごたえをかんじるのが難しくなるという。そのためにはまず自分から心を開き、人とかかわろうとすることが大事だととく。
だれにも看取られずに亡くなり、死後数日、ときには数カ月もたってから遺体が発見される孤独死は正確なデータがないが年間の死亡者は2万5千人から3万人と推計され、その半分は高齢者であるという。
孤独死の危険性が高い人の生活習慣は友達がいない、挨拶をしない、人のことに関心を持たない、催しに参加しない、身内がいても連絡をとらないなど「ないない尽くし」だといわれている。
地域のかかわりが希薄化し、高齢者の独り暮らしが増えた今の日本において、孤立は孤独死という悲劇につながる。
またそうならなくても孤独は人間のこころをすさませ、弱らせ、体に悪影響を及ぼし、刺激の少ない孤独な生活は、認知症などの進行にも拍車をかけるという。
逆に、「暖かなつながりさえ持っていれば、家族がいなくても、経済面で恵まれていなくても心豊かに生き生きと生きていけるものです。」と説く。
人とつながり、絆を強める秘訣は自分から心を開き自分の弱さを隠そうとせず、自分と同じようにに弱さをもっている相手を1個の人間として尊重し向きあうことだという。人間いくつになっても目標を持ち、人とつながって生きていくことの大事さを教えてくれる本です。

集英社新書 加賀乙彦の「不幸な国の幸福論」

パニック障害とカウンセリング

今回は、以前掲載した“メンタルの様々な症状とカウンセリング”の第2回目として、パニック障害とその治療としてのカウンセリングについてお話したいと思います。

パニック障害には、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という3つの症状があります。

「パニック発作」はこの病気の中でも中心になる症状で、動悸や発汗、体の震え、息苦しさ、喉の詰まるような窒息感、めまい、しびれなどの症状が複数同時に起こり、強い不安や恐怖を伴います。

また「予期不安」は、パニック発作が繰り返されることで、またあの発作が襲ってくるかもしれないという漠然とした不安がつきまとうようになることです。

そして「広場恐怖」とは、繰り返しパニック発作を起こしてしまう特定の場所や乗り物などに対し恐怖を感じ、その状況を避けるようになることです。

この治療法には、まず薬を服用することで症状をコントロールしていく方法があります。
また、カウンセリングでの心理療法も有効ですのでご紹介したいと思います。

カウンセリングでは、

?自律訓練法:パニック発作に対し、心身を落ち着かせるため短時間で副交感神経を優位にするよう自分自身でコントロールする訓練法です。カウンセラーと一緒に何度も練習することで、発作時に自分で対処できるようになっていきます。

?認知行動療法:発作に関係した場所や状況を避ける行動が強い場合に、その状況に少しずつ挑戦し、克服できるよう導いていきます。また、パニック発作によって感じる不安の根底にある自分自身の認知の修正も行っていきます。
(詳しくは「認知行動療法の基本モデル」をご覧ください)

?どうしてこのような症状が出てしまうのか、一人一人の生活背景や抱えているストレスなどを伺いながら、自分自身と向き合っていくお手伝いをします。

以上のようなアプローチを組み合わせ、対応していきます。

もしカウンセリングでの治療にご興味がありましたら、遠慮なくご連絡ください。

めぐる季節

臨床心理士の松本です。

厳しい残暑が続いていますが、いかがお過ごしですか。

今頃は夏の疲れがでて、体調を崩されていらっしゃる方も多いかと思います。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、これからようやく過ごしやすい季節になっていきます。今朝、今年一番の彼岸花を見ました。金木犀が香り、彩り豊かな紅葉、実りの秋がまた巡ってきます。

日本の四季はそれぞれ風物詩があって美しいですが、実は結構厳しいですよね。寒さをじっと耐えてようやく梅や桜が咲く春。物事の始まり。夢と期待、不安と緊張。新緑、じめじめの梅雨。物事にようやく慣れて楽しい夏休み。猛暑、夏バテ。残暑と台風。そうしているうちに実りや実績があらわれはじめる秋。そして寒くて厳しい冬が来る…

最近思うんです、何事もそんな日本の四季みたいだなって。仕事も夫婦関係も。ハネムーンの春、楽しい夏、実りの秋、スランプの冬。それを耐え忍び、乗り越えてまた春がやってくる。巡る度毎に私たちは強く、成長していきます。経験を積むごとに深みが増してきます。ちょっとツイていないな、と思う事もあるかもしれない。時に逆らう事のできない大きな困難に巻き込まれる事もあるかもしれない。そんな事もあるけど人生投げ出さずに“Hang in there(しのいで)”いきましょう。別にうまくできなくても、いい評価を受けなくってもいいんです。“Hang in there.”いろんな結末はあるにせよ、きっと春が訪れます。