アサーティブネス スキル 〜トレーニング編

トレーニング1/気持ちを伝えましょう
会社などの人間関係ではどうしても、上司の考えを優先し、部下としての自分の考えを卑下・過小評価してしまいがちです。その結果、伝えるべき気持ちを伝える事ができずに、自己犠牲を払う事が多々あります。

そこで、少し考えてみてください。上司もあなたも等しく尊重されるべき一人の人間です。会社での役割に基づいた関係が上司との間にはありますが、それがあなたと上司の人間的な階級までをも決めてしまうものではないのです。それは、あくまでも仕事上の役割であり、あなたの権利(事情・考え・感じる事など)は上司のものと同様に尊重されるべきものなのです。
あなたの権利を守るのはあなた自身です。社会構造上で自分を卑下していては、自分の権利を守る事ができません。あなたの事情・考え・気持ちは、あなたにしか分かりません。自分を大切にする事は、あなた自身にしかできないのです。
より円滑な人間関係を築く為には、社会的身分等に気後れする事なく、きちんとあなたの気持ち・要望を伝えていきましょう。

トレーニング2/はっきり断りましょう
うまく断りきれず、無理して「イエス」と言ってしまうと、断りたかった気持ちは必ずどこかに現れます。精神的にもストレスを感じ、断りたかった事に対して消極的になります。
例えばそれが嫌な仕事であれば後回しにになってしまったり、気が進まない約束であれば遅刻してしまったりします。あるいは、頭痛や腹痛などの体調不良が起り、ついにはドタキャンしてしまったりする事もあるでしょう。

反対の立場になってみてください。相手が「来る」と言ったにもかかわらずなかなか来なかったり、さんざん待たされたあげく、結局来なかったという事はありませんか?始めは「やる」といって引き受けたにもかかわらず、間際になって放棄され、それが自分に降り掛かり大変な目にあった事はありませんか?
そんなとき「なんで最初から断わってくれなかったんだろう」と思うものです。きちんと断らないと、かえって相手に迷惑をかけ、信頼を傷つけます。

「イエス」・「ノー」がはっきり言える関係は誠実で、お互い気が楽です。「ノー」と言う事で相手と自分の違いや、自分の限界を伝える事ができます。
それによって、仕事を引き受けすぎて過重労働になったり、「燃えつきる」事を防ぐ事ができます。また、「ノー」と言う事で、自分の好きな事にもっと時間を配分する事ができるでしょう。

「ノー」という判断基準はあなた自身です。「ノー」と言いたいとき、いつももっともらしい口実を探していませんか?
ちゃんとした理由がないから断われない、または「ノー」と言わずに遠回しに断るなど、「ノー」と言う事自体にストレスを感じている人も多いでしょう。あなたの気が進まないという事自体が充分断る理由になるという事を覚えておいてください。

トレ−ニング3/批判にうまく対応しましょう
あなたは誰かに批判された時、その批判を適切なものと感じますか?
適切な批判とは相互的な人格尊重に基づき、現実的な問題解決を焦点においた働きかけだと考えます。なかには価値観の違いや人格さえも否定した、差し出がましい批判もあります。自他の価値観の違いを尊重し、相手との境界線を保ち、冷静に批判に対応したいものです。

批判をされたとき、まずは相手があなたに何を伝えようとしているのかを聴き、批判が正当か、又は適切かを判断します。そして、批判を受けたときの気持ちやあなたの考えを適切に表現し、問題解決(例:相手の誤解を解き、相互理解を図るなど)に結びつけられるようコミュニケーションを図りましょう。

もし、相手が明らかに不適切で正当ではない批判をしていると判断したときは(例:一方的な価値観の押しつけや人格否定)、それを鵜呑みにして傷つく事から自分を守ってください。そして、自分の価値判断に忠実にその後の行動をとりましょう(例:そんな相手とのおつきあいを続けるか否か)。
必要があれば相手にあなたの考え方を伝えて、相手の「侵入」を制限するなど、境界線を強化する必要があるかもしれません。

トレ−ニング4/我慢するより、上手に怒りましょう
対人関係で相手に腹が立ったとき、あなたはどうしますか?
つい我慢してしまい、不愉快な思いをしますか?
その場では平静を装うものの、後で何らかの復讐をしますか?
それとも、カッとなって好戦的な態度で接しますか?

怒りの気持ちにふたをすると、当事者以外の気の許せる家族などに八つ当たりしてしまったり、結局まわりの人や自分を傷つける事になりかねません。

なぜ私達は「怒る」事を回避しようとするのでしょう。「和」=「協調」を美徳とする日本の文化では「怒る」=「協調を乱す」という事で、否定的に捉えられているようです。
しかし、「怒り」は決して否定的な側面だけを持つ「問題」ではなく、喜び・悲しみ・不安と同じ、誰もがもっている感情の一つです。「怒り」がもたらすエネルギーは身に迫った危険に即座に対応し、身を守るのに必要不可欠とされています。
「怒り」の感情を押さえるよりも、そういった感情が起った背景に着目し、相手も自分も傷つけないで怒りを伝え、問題解決に結びつける事を心がけましょう。

トレ−ニング5/自分の価値判断を信じ、大切にしましょう
対人関係において「ノー」と言いたいとき、ムッとしたとき、あるいは反論したいとき、いずれもあなたの価値判断に基づきます。しかし、会社などの上下関係が伴う間柄では、つい部下である自分の価値判断を卑下・過小評価してしまい、上司やまわりの価値判断にゆだねてしまいがちです。
そんなとき、「ノー」と言いたい場合でも、なかなか言いにくいものです。また、そのような状態で上司に批判されたら、ついその批判を鵜呑みにしてしまい、自己否定・嫌悪に陥ってしまいます。

仕事の役割上の上下関係が人間の価値の優劣をも決めるように錯覚してしまっている人は多いようです。むしろ、そのように今まで教育されてきたのではありませんか?
前述した通り、上司もあなたも等しく尊重されるべき人間です。上司の価値判断が尊重に値するよう、あなたの価値判断も同等の尊重に値します。あなたの人格や価値判断はあなた自身が長年培ってきた、あなたのみが知る特有のものです。それを何も知らない他人に容易に否定させてはいませんか?自分の価値を知り、大切にできるのは、上司や親ではなくあなた自身なのです。

自分の価値を知り、自分の価値判断を信頼する事ができれば、たとえ間違いを犯したり、他人に拒絶・批判されたとしても、自己否定・嫌悪に陥ってしまう事はありません。また、自分の価値判断で「イエス」・「ノー」の判断ができたなら、その結果により責任をもつ事ができるでしょう。