仕事や家事で忙しいとき、不安や緊張が続いているときなどに、
「肩に力が入っている」
「身体がこわばっている」
「なかなかリラックスできない」
と感じることはありませんか。
心が緊張しているときには、知らないうちに肩や腕などの筋肉にも力が入っていることがあります。
**漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)**は、いったん意識的に筋肉へ力を入れ、その後に力を抜くことで、緊張している状態とゆるんだ状態の違いを感じながら、身体をリラックスさせていく方法です。
特別な道具を必要とせず、自宅などでも取り入れやすいリラクセーション法の一つです。
漸進的筋弛緩法とは
漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師エドモンド・ジェイコブソン(Edmund Jacobson)が提唱したリラクセーション法です。
筋肉を意識的に緊張させたあと、その力を抜いて弛緩させる動作を繰り返します。
ポイントは、単に「力を抜こう」とするのではなく、
力が入っている感覚 → 力を抜いたあとの感覚
の違いに注意を向けることです。
普段、自分がどのくらい身体に力を入れているかは意外と気づきにくいものです。一度筋肉を緊張させてから緩めることで、身体がゆるんでいく感覚に気づきやすくなります。
漸進的筋弛緩法の基本的なやり方
基本となる動作はシンプルです。
- 楽な姿勢をとります。 椅子に腰掛けるなど、無理なく安定した姿勢になります。
- 筋肉に5~10秒程度、軽く力を入れます。 痛みを感じるほど強く緊張させる必要はありません。
- 一気に力を抜きます。 「ストン」と力を落とすようなイメージです。
- 15~20秒程度、筋肉がゆるんでいる感覚に注意を向けます。
その後、別の部位に移って同じ動作を繰り返します。
力を入れるときには息を止めず、自然な呼吸を続けることも大切です。
どの部分で行えばよい?
漸進的筋弛緩法は、身体のさまざまな部位で行うことができます。
| 部位 | やり方の例 |
|---|---|
| 手・腕 | 手を軽く握り、腕にも力を入れる |
| 肩 | 肩を軽くすくめるように力を入れる |
| 顔 | 顔の筋肉に無理のない範囲で力を入れる |
| お腹 | お腹に軽く力を入れる |
| 脚 | 太ももやふくらはぎに軽く力を入れる |
| 足 | 足先に軽く力を入れる |
すべての部位を一度に行う必要はありません。
肩の緊張が気になる場合には肩と腕だけ、就寝前であれば手や脚だけというように、取り組みやすい部分から始めても構いません。
大切なのは「力を抜いたあと」の感覚
漸進的筋弛緩法というと、筋肉に力を入れることに注意が向きやすいですが、より大切なのは力を抜いたあとの感覚です。
力を抜いたあとに、
「筋肉がゆるんできた」
「少し重く感じる」
「温かく感じる」
「先ほどより力が抜けている」
といった身体の変化に、しばらく注意を向けてみます。
はっきりとした変化を感じなくても問題ありません。
繰り返しているうちに、自分が緊張している状態と、力が抜けている状態との違いに気づきやすくなることがあります。
呼吸は自然に続けましょう
筋弛緩法を行うときに、呼吸を特別な方法へ変える必要はありません。
ただし、筋肉に力を入れようとして無意識に息を止めてしまうことがあります。
呼吸は自然に続け、息を止めないようにしましょう。
力を抜くタイミングで、ゆっくり息を吐いてみるのも一つの方法です。
「正しくやらなければ」と意識しすぎると、かえって身体に力が入ってしまいます。無理のない範囲で行うことが大切です。
どんなときに取り入れやすい?
漸進的筋弛緩法は、身体に力が入っていると感じるとき、緊張した状態が続いているとき、気持ちを切り替えたいとき、就寝前に身体をゆるめたいときなどに取り入れやすい方法です。
最初から全身を行おうとする必要はありません。
1~2か所の筋肉から、短い時間で試してみるところから始めてもよいでしょう。
筋弛緩法を行う際の注意点
痛みのある部位や、けがをしている部分には無理に力を入れないようにしてください。
筋肉や関節などに疾患がある場合や、治療中の病気がある場合には、身体の状態に応じた配慮が必要です。
また、漸進的筋弛緩法はあくまでリラクセーション法の一つです。
不安、不眠、気分の落ち込み、動悸などが長く続いている場合や、仕事・学校・家事など日常生活に支障が出ている場合には、セルフケアだけで対応しようとせず、必要に応じて医療機関などへ相談することも大切です。
まずは「身体に力が入っていること」に気づくところから
私たちは緊張しているときに、「緊張している」と頭では分かっていても、身体のどこにどのくらい力が入っているかまでは気づいていないことがあります。
漸進的筋弛緩法では、
緊張させる → 力を抜く → 違いを感じる
というシンプルな動きを繰り返します。
身体の緊張に気づき、意識的に力を抜いてみる。
日常生活の中でリラックスするための方法の一つとして、無理のない範囲で取り入れてみてください。

